監査すべきは構造であり、カタログではない
中国の主要な産業クラスターにあるケーブル工場の大半は、幅広い製品を製造しています。江蘇省宜興市は2020年末までに電線・ケーブルの生産額が1,000億元を超えたと公表し(江蘇省の報道、2021年)、河北省の寧晋クラスターは2024年時点で2,393社の企業を数えています(河北省産業主管部門、2025年)。これほどの規模のクラスターでは、ほぼすべての工場が押出ラインを見せてくれます。監査が答えるべき問いはもっと狭いものです。この工場は、お客様の構造を、お客様の規格に従って、お客様の数量で製造・試験し、ドラム単位で証明できるか、という点です。
そのため当デスクは、すべての監査を仕様書から始めます。IEC 60502-1に準拠した0.6/1 kVのXLPE電力ケーブルを高い水準で作れる工場でも、中電圧用の部分放電測定室を持たない、BS 5467用の鋼線アーマー設備を持たない、あるいは太陽光ケーブルのEN 50618証明書につながる道筋を持たない、ということがあり得ます。例えば当サイトの中電圧ページの基になっているパートナーカタログは8.7/15 kVまでで、それより高いクラスは別の工場に割り当てています。最初に構造を書面で定めることが、監査の誠実さを保ちます。視察の前に当デスクがどのように範囲を定めるかは、工場監査ページで説明しています。
もう一つ、最初に確認すべき問いがあります。どの工程がこの工場内で行われ、どの工程が外部調達なのかという点です。自社で伸線まで行う工場もあれば、伸線・撚線済みの導体を購入する工場もあります。自社でPVCコンパウンドを混練する工場もあれば、大半の工場はコンパウンドを購入します。外部調達は決して珍しいことではありませんが、購入した工程の一つ一つに受け入れ検査の記録が必要であり、最終の押出ホールだけを確認する監査では、導体やコンパウンドの問題が始まる場所を見逃してしまいます。主要サプライヤーのリストと、それぞれに適用される受け入れ検査を求め、別のサイトに再委託されている工程があれば記録してください。そのサイトも実質的にお客様のサプライチェーンの一部だからです。
生産ライン:現地で確認すべきこと
ケーブルが作られる順に工程を歩き、お客様の製品タイプの稼働を見せるよう求めるか、少なくともその直近バッチの記録を確認します。
| エリア | 確認事項 | 重要な理由 |
|---|---|---|
| 棒材・伸線 | 銅・アルミ棒材の調達元、購買記録、焼なまし | 導体抵抗はここで決まります。再生材や混入金属は後になって抵抗不良として現れます |
| 撚線 | サイズごとの撚数・素線径の設定シート | 素線を減らす、または細くすることが、過小サイズ導体への典型的な近道です |
| 絶縁押出 | コンパウンドの種類とロット記録、厚み検査、インラインのスパークテスター | 厚みとコンパウンド品質が耐電圧性と耐熱老化を左右します |
| 中電圧絶縁ライン | 導体半導電層、XLPE、絶縁半導電層を1つの管理された工程で押出、コンパウンドの清浄な取り扱い | 異物混入やボイドは部分放電の原因になります |
| コア撚り・アーマー | フィラー、結束テープ、鋼テープまたは鋼線アーマー機 | STAは広く一般的です。SWAとAWAには専門設備を持つ工場が必要です |
| シース・印字 | シースコンパウンド、印字機の設定、メートルマーキング | 印字は購入者が最初に製品を識別する手段です |
| ドラムヤード | ドラムの種類、外装、端末キャップ、屋根付き保管 | 保管中の損傷は、良好な試験結果を無効にします |
光ファイバーケーブルの場合は、ファイバー着色、ルースチューブまたはタイトバッファの各ライン、撚線、アーマーまたはテンションメンバー、シースという順で工程を歩き、ファイバーの調達元とスプール記録を最初に確認します。光ファイバー・ケーブル工場は武漢の光谷と呉江の七都に集中しています。どのラインにどのクラスターが適するかは、産業クラスターのページを参照してください。
試験室:設備とその運用
計測器の置かれた試験室の一角は、試験体制そのものと同じではありません。全ドラムで何を試験するか、何をサンプルで試験するか、何が外部の型式試験報告書でカバーされるかを尋ね、設備がその内容と合致しているかを確認します。
- 導体抵抗:20 ℃への温度補正に対応した抵抗ブリッジを備え、オペレーターがサイズごとのIEC 60228最大値に対する測定結果を示せること。
- 耐電圧試験:対象ケーブルに見合った容量の高電圧装置。中電圧ではIEC 60502-2のルーチン試験は3.5 U0を5分間です。
- 部分放電:中電圧ケーブル用の遮へい室と校正済みの測定システムで、IEC 60885-3に従って測定し、1.73 U0で10 pC以上の感度をルーチンで確保できること。
- 寸法:切断サンプルの絶縁厚・シース厚と外径を測定する工具。
- 老化・燃焼:熱老化用のオーブン、および自社の燃焼試験装置、またはIEC 60332-1-2などの燃焼試験についての最新の外部試験報告書。
- 光ファイバー:ファイバーごとの減衰と長さを測るOTDR、およびパッチコード用の挿入損失・戻り損失の測定装置。
主要な計測器の校正証明書を求め、日付を確認してください。校正されていない抵抗ブリッジは、そこから出るすべての報告書を疑わしいものにします。
記録:ほとんどの監査が見逃す部分
記録こそ、優れた工場が他と差をつける場所です。類似する構造の直近の注文を一つ選び、それをさかのぼって追跡します。ラベルに印字されたドラム番号、そのドラムの試験記録、生産バッチ、コンパウンドのロット、棒材の購買まで。このつながりが途中で途切れるなら、お客様の注文で受け取る報告書も同じように信用しにくいものになります。
- ヤードから3つのドラム番号を選び、その試験記録をその場で提示してもらいます。
- 抵抗値を、工場独自の内部目標ではなく、サイズに対するIEC 60228の最大値と照合します。
- 記録された絶縁厚・シース厚を、工場が提示するデータシート値と比較します。
- 不良ドラムがどのように記録・隔離され、廃棄または等級落としされるのかを尋ねます。
- 出荷承認に署名するのは誰か、その人物が生産部門から独立しているかを確認します。
証明書と適用範囲
証明書は、工場と特定の構造・型式範囲に紐づくものであり、会社一般に対して与えられるものではありません。ULリスティング、EN 50618太陽光ケーブルのTUV証明書、BS構造のBASEC承認は、注文ごとに、工場名、製造場所、正確なケーブルタイプと照らし合わせて、認証機関の公開データベースで確認します。EUでは、EN 50575対象のケーブルにCPRクラスを記載した性能宣言書(DoP)が必要です。CEマーキングは宣言であって、証明書ではありません。証明書の確認手順は、ケーブル証明書の検証の記事で解説しています。
監査結果を注文につなげる
監査は、短い所見リストと判断で終わります。この構造についての承認、条件付き承認、または不適切のいずれかです。条件は通常、注文条件になります。立会いによるルーチン試験、最初のドラムのサンプル試験、残金支払い前の出荷前検品などです。承認された工場のMOQとリードタイムは、注文ごとに書面で確定します。標準的な範囲はMOQとリードタイムのページにあります。構造が決まっていれば、見積もりフォームからお送りください。当デスクがその内容に沿って監査の範囲を設定します。
